アクセラのMCに合わせて発売されたモーターファン別冊「新型アクセラのすべて」を読みました。
この雑誌を読まずとも、マシーングレーという地味なカラーのイチオシ具合、外装デザインの落ち着いた雰囲気への変更、内装からレッドステッチやカーボン調仕上げをなくす等、MC後アクセラでは「やんちゃ」な雰囲気を押さえ、落ち着いた路線に行きたいというのは伝わってきていましたが、この雑誌にあるマツダの中の人の発言を見て、改めてそういう方向に行きたいのだということが十二分に伝わってきましたよ・・・
特に、現在絶賛売り出し中のマシーングレー。
この色、圧倒的多数の人にはいわゆる普通の「グレー」という範疇を超えられていないと思いますが、「普通の高級車メーカー」としてやっていくならこういう地味な色のラインナップも必要、というかむしろ重要で、それには特別感も必要（従来の「グレー」じゃだめ）。ラメがとか、光の当たり方によってとか、一々説明しないと良さが伝わらない（というか、困ったことに説明しても伝わらないかもしれない）というのは、イマイチ失敗している感はありますが、少なくとも意志としてどうしたいかは伝わってきます。
今のところ、マツダのWebにあるカーラインナップ一覧はソウルレッド一色ですが、
このマシーングレーをうまく浸透・お客さんからの支持を得て、目指すべき方向は、例えば、一目瞭然で「シルバー」がメインカラーであることが分かるメルセデスや、
基本はシルバー系の地味な色ばかりのアウディや、
これまたシルバー、ホワイト、グレー、紺色などの地味な色がメインのBMW（Mグレードは敢えて表示から除外してますが、これらは派手なカラーになってます）
だったのかと。結局普通の高級車メーカーになりたかったのだね、とがっかりしたワケです。マツダの経営陣からは、明示的ではないにせよ、ベンチマークとして何度か「BMW」という名前が出て来ていますが、もう一歩、ここに迫ろう（迫ることができる）というところに来たのでしょう。
残念という感情と同時に、大丈夫か？とも思わざるを得ません。お金をそれなりに車に投入できる年齢層は「マツダ地獄」の安売りイメージが強くて、「高いマツダ」には相当違和感あるでしょう。逆に、いまマツダを選んでいる比較的若い世代はそういった悪い時代のブランドイメージとは無縁（か薄い）と思いますが、この層はこれ以上高級化路線を進めると買えなくなってきます。
「お客さんを入れ替える」というのは、戦略としてはアリでしょう。ただ、グローバルではいいとしても日本じゃ上述のとおり、染みついた過去のブランドイメージを変えるというのは数年で何とかなるようなお手軽なものではなく、相当難易度が高い。今でも日本よりも欧州目線という感じですが（その象徴がマツコネ）、それをもっと推し進めるという意思表示のようにも見えて、これまた残念としか言いようがありません。
次期CX-5は、先日のスパイショットを見る限りキープコンセプトですが、上質感を載せて高級路線をもっと強く主張してくると予想されます。
情熱的なイメージ、デザインで売っているアルファポジションの「ジャパニーズ・アルファロメオ」を暫く通すのかと思っていましたが、ここまで早く次のステップに行くというのは予想外。
ほら、分かりやすい。美しい、カッコイイ、情熱的、スポーティ、というこっち方面の路線はもう終わっちゃうのね、と。（イタリア本国と日本でのアルファのイメージは随分違うという議論はさておき）
マツダがBMWと全く同じ土俵で戦っても仕方が無いはずですが、いま向かおうとしている方向の延長には、BMWとガチンコになるポジションしかないように見えます。5%の人に好かれる、尖った要素をどこに残すのでしょうか。高級化路線には、ディーラーも追いついてないですし、何より既存のユーザーもついていけません。最近の細々した動きから伝わってくるこの方向性には、拙速感しかないです。
ただ、救いとも言える点は、MCでは、今のところは積極的な値上げは行っていないことでしょう。リアルな「高級」ではなく「高級感」を作ることに注力している状況。高級感に「ブランド」が伴ってきたと判断すれば、リアルに「高級」な車になっていく（＝値上げ）はずで、虎視眈々とそれを狙っています。今回そこに踏み込まなかったというのは、現状認識はちゃんと出来ているという見方もできますね。
次期CX-5（とその値付け）で、今後の方向性が一気に見えてくるはずです。楽しみと同時に不安もありますが、さてどうなりますか・・・
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