新型DJデミオ、やっと公式な販売台数が発表されました。一見、販売は好調なように見えますが本当に好調なんでしょうか。
【マツダ デミオ 新型】販売1か月半で1万9233台を受注…6割強がディーゼル | レスポンス
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マツダは、9月11日に予約販売を開始した新型『デミオ』について、販売開始から約1か月半にあたる10月26日時点での累計受注台数が1万9233台となったと発表した。エンジン別の受注台数構成比は、ガソリン車が37%、ディーゼル車が63%。
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さらにこの1ヶ月ほど前、非公式情報として7000台という数字も出ていました。
マツダ「デミオ」好調 新型ディーゼル搭載車、受注の7割占める (SankeiBiz) – Yahoo!ニュース BUSINESS
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今月9日の予約開始から半月足らずで販売目標の月5000台を大幅に上回る7000台以上の注文が舞い込んでいるという。新開発の環境と燃費性能に優れた 排気量1500ccのクリーンディーゼルエンジン「スカイアクティブD1.5」を搭載したモデルを設定したためで、全受注の7割近くに達しているもようだ。
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この数字は公式発表ではなかったですし、タイミングも半月時点という中途半端なもの。この背景は何となく予想はついていましたが、1.5ヶ月後の公式な販売台数をみて、やはりな、と。
1ヶ月の販売台数に換算して見えてくること
上記の発表台数は1.5ヶ月後の数値ですが、1ヶ月換算してみると実は13,000台弱となり目標5000台/月の3倍に達していません。BMアクセラは目標3000台に対して1万台超の3倍超達成、アテンザは1000台に対して7300台の7倍超達成、CX-5は目標1000台で8000台の8倍達成。これらはすべて1ヶ月後の数字です。
この手の数字は、「目標の2倍売れてます!」より「目標の3倍売れてます!」の方が好調を印象づけられますから、目標値は多少低めに設定します。日本で最も売れているマツダ車であるデミオが目標値の3倍を達成していないというのは、想定より苦戦していると推察されます。ちなみに、DEデミオの時は1ヶ月で15000台でした。
CX-5以降販売開始1ヶ月後の数値を発表してきていたのに、突然デミオだけ1.5ヶ月にしたのはそのあたりをあやふやにしたい意図があったのでしょう。
「ディーゼルが6割」という数値が意味すること
マツダ車の中で最も幅広いユーザー層に利用されていたクルマがデミオです。マツダも認めているように、あまりコダワリなく選ばれ、どちらかというと「値引き」で売られてきていた車です。ところが、今回のデミオは「ディーゼルが6割強」とのこと。そういうクルマにコダワリがない層が、なんだかんだで200万円超になるディーゼル車を、試乗もせずに選ぶでしょうか。試乗車も殆どない中で6割超の人がディーゼルを選ぶというのは、明らかに従来のデミオ利用者層とは違う層が選んでいることが分かります。
これがアクセラやCX-5のような趣味性もあって、ユーザー層がもう少し限定されているクルマなら、そうだなと納得もいきます。でも、これ、デミオですからね。 「とりあえずデミオ」的な選ばれ方はされなくなったという点では、マツダの戦略面から見れば成功と言えるでしょうが、従来の相当多数を占めていたごく標準的なデミオのユーザーには見向きもされなくなったという点では、台数は稼げないクルマになったとも言えます。
原因は強気な価格設定と値引きしない姿勢にあり
この原因は、マツコネのナビ機能(しつこいですが、マツコネ=ナビではなく、ナビはマツコネのいち機能でしかない)もあるとは思いますが、強く効いているのは価格設定(=高い)でしょう。ディーゼルはそもそも値段設定が高いし、ガソリンモデルは標準的ですが、値引きは渋くかなりの強気です。プレミアムブランドを目指すマツダとしては安易に値引きしたくないし、しないと言っているので、言行は一致してます。藤原常務も「値引きで売ってきた車」とおっしゃっていたとおり、選ばれるべくして選ばれたという訳ではなく、値段で選ばれてきたクルマだった訳です。
「中身を見れば安い」という意見もあると思いますが、「とりあえずデミオ」的な人にそういうのは無意味です。細かいことはわからないし、関心もない。
「台数を追わない」姿勢を貫けるか?
マツダの戦略としては「選ばれるデミオ」になった点は明確な傾向として現れていますから「成功」の評価、台数面では「やや苦戦」の評価で、ここには不安を覚えていることでしょう。デミオは、マツダがプレミアムブランドを目指す上で「台数を追わない姿勢を貫けるか」の試金石となると言えます。
デミオ(とその関連車種)の販売ストーリーとしては、以下が想定されます。
(1) 日本市場での台数減に耐えきれなくなって、値下げをしてしまう
(2) 日本市場での台数減は諦めて、グローバルでの販売台数を稼いでトータルではヨシとする(デミオの安売りはしない)
(1)は過去のマツダなら確実にとった行動ですが、プレミアムブランドを目指す今のマツダとしては、ぎりぎりまでこの方向に舵を切ることはないでしょう(とか言いつつ、あっさりこうなったりして)。とすると(2)になりますが、
(3) 台数減分をCX-3のような代替車種でカバーする(デミオの安売りはしない)
という追加のストーリーもあり得ます((2)の路線は変わらず)。
(CX-3参考画像)
デザインよりも室内の広さを重視する層には新型デミオは全くウケないと思いますので、デザイン性と室内の広さのバランスがとれた点(まだ実車は公開されていないので推測)は評価されると思いますし、販売はまだ先ですからデミオの売れ行きを見て値段を戦略的に設定することが可能です。
ただ、見た目はSUVなので、そこら辺がどう評価されるかは分かりません。また、この車種だけガンガン値下げすることは戦略上あり得ないので、デミオとの台数ベースで合算してもプラマイゼロか、ちょっと少ないぐらいでしょう(ちょっと少ない、とするのは、おそらくデミオの購買層とも一部は重複するカニバリ状態になることが予想されるため)。
しばらくデミオの販売台数動向から目が離せません。
当店について、もっと詳しく知りたい!という方は以下をご覧ください!
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